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吉田茶園は、お茶ではなく体験を届けているからおもしろい

この記事に登場する人
吉田浩樹さん|「吉田茶園
吉田春樹さん|「吉田茶園」
田中俊大さん|「VERT」オーナーパティシエ

東京・神楽坂にある予約の取れないアシェットデセール(皿盛りデザート)コースに日本茶を織り交ぜたレストラン「VERT(ヴェール)」では、定期的に茶農家を招いた夜茶会が開かれています。

茶農家自ら茶を淹れながら、産地の歴史や製茶の方法などの話も聞ける夜茶会は月に数回行われており、2024年最初の夜茶会は1月13日に、茨城県古河市にある「吉田茶園」とのコラボレーションで行われました。

吉田茶園は、江戸時代後期の1839(天保10)年に開園した老舗の茶園で、定番品種の「やぶきた」を中心に、「はるみどり」や「ほくめい」といった珍しい品種や、オリジナル種茶の「美紗希」など、8種類の茶を栽培・製茶しています。

夜茶会当日は、現園主で6代目の吉田正浩氏の長男の浩樹さんと、現在VERTで修業中の次男の春樹さんが、幻の品種「いずみ」の和紅茶や「やぶきた」の煎茶、「ほくめい」の和紅茶に金柑を合わせた季節茶などを目の前で淹れるのを見ながら、VERTのオーナーパティシエである田中俊大さんの茶菓子を味わいました。

ときおり吉田さんと田中さんが冗談を交えた掛け合いをはさみながら、それぞれの茶の背景や収穫・製造の違い、味わいの特徴などを伝えた夜茶会。生産者とパティシエがつくりあげる「お茶愛」にあふれた2時間は、吉田茶園とVERTの1年間の親交を感じさせるものでした。

シェフと生産者の理想的といえる関係を感じさせるコラボレーションは、どんな経緯で始まったのでしょうか。吉田さんと田中さんに話を聞きました。

2024年1月13日に開催された「夜茶会・VERT×吉田茶園 Ver.3」。
「吉田茶園」の吉田浩樹さん。
「VERT」オーナーパティシエの田中俊大さん。
「吉田茶園」の吉田春樹さん。
8種類の吉田茶園の茶と田中さんの茶菓子を楽しんだ夜茶会。

お茶をつくった本人がお茶を淹れてくれることは尊いこと

――吉田茶園とVERTの夜茶会は、今回で3回目です。どんなことがきっかけで始まったのでしょうか?

田中俊大さん(以下、VERT田中) VERTでは、お茶屋さんが忙しくなるお茶時期を除いて月に数回、お茶屋さんを招いての夜茶会を行っています。それに興味をもってくれた浩樹くんが、「吉田茶園でもやってみたい」といってくれたのがきっかけです。

吉田浩樹さん(以下、吉田茶園・浩樹) たしか移動中の車の中で、「何かおもしろそうなんで、やりたいです」っていったら、田中さんがその場で決めてくれて。最初の夜茶会を開催したのは2023年10月。そのあと12月に2度目、そして今回2024年1月で3回目になります。

――そもそもVERTで茶の生産者を招いての夜茶会は、どんな思いで始めたのでしょうか。

VERT田中 産地のお茶屋さんに行くと、つくっている本人がお茶を淹れてくれるじゃないですか。それってすごく尊いことだと思っていて、それをお客様にも体験してほしいと思ったんです。

たとえば物産展のような場所で試飲していると、つくっている人の気持ちまでは、なかなか伝わってこないように思うんです。もちろん、販売している人によって違うとは思うのですが、そういう場での購入の動機は、ネームバリューだったり受賞歴だったりするのが、良くも悪くもあると思います。

そういったなかでお茶屋さんがお客様の目の前に立ってお茶を淹れてくれるだけでなく、お茶屋さん自身の言葉で茶園の背景や思いを伝えてもらえるし、お茶をつくっている人の人柄まで知ってもらうことができたら至高の時間になるのではないか。そんな考えを実現する場として夜茶会を始めました。

吉田茶園・浩樹 やってみてすごくいい勉強になりました。ふだんとは違ったお客様にお会いできるのも新鮮でした。

――どんなお客様が多いと感じましたか。

吉田茶園・浩樹 吉田茶園のことを好きでいてくださるお客様だけでなく、純粋にお茶が好きとか、嗜好品としてお茶に興味があるという方が多い印象です。

VERT田中 お茶を出す順番や淹れ方など、僕から何かいうことはないんですが、1回目より2回目、2回目より3回目というようにどんどんステップアップしているのは見ていてわかります。

夜茶会って、ただお茶を淹れるだけじゃないんですよ。7種類から8種類ぐらいを2時間かけて淹れていくので、1杯1杯の味の濃淡を考えつつ、それぞれのお茶に対する説明もしながら進行していくので、かなりハードルが高いんです。

吉田茶園・浩樹 あと夜茶会をきっかけに一つ意識するようになったのは、何杯もお茶を飲んでいただくためにコンセプトが必要になるということです。今回は全体を「」というテーマにしながら、「いずみ」という茶品種の収穫時期ごとの違いを飲み比べて楽しんでいただくことを意識しながらコースを組み立てました。

お客様の前でお茶を淹れることは何度もしていますが、VERTのような世界観のある場所に合わせて考えることはまったく違った新しい体験で、良い学びになっています。

――VERTにとって夜茶会をやって良かったことはありますか。

VERT田中 夜茶会をやることは、VERTにとってプラスになるとか、そういうことはどうでもいいと思っています。そもそも僕は、日本のお茶をもっと多くの人に知ってほしいと思って夜茶会を始めたので、お茶屋さんのことをお客様に知ってもらえたことだけでありがたいですし、お茶屋さんにわざわざ来てもらえたことも、とてもありがたいことなんです。

それに夜茶会は、お茶屋さんにVERTを自由に使ってくださいっていうスタンスです。日本茶がどう広がっていくべきかっていうことを考えたときに、VERTでは賄いきれない部分ってあって、その一部を夜茶会が補っているイメージです。

VERTには、僕のデザートのコースをより深く知りたいという人がいらっしゃることが多いのですが、その方にはもしかしたら夜茶会は合わないかもしれません。夜茶会はお茶が主役で、お茶菓子は脇役なので。

でも僕はそれでいいと思っているんです。夜茶会にはお茶屋さんに興味をもってくれる熱意のある人だけに来ていただければいい。

そのため、夜茶会を始めたときは、その趣旨を知らずに間違っていらっしゃる人がいないように、きちんと趣旨を読んでくださいと念を押していました。

――熱意がある人が増えることは、日本茶を広げていくことにつながると思いますか?

VERT田中 なりますよ。僕は、お茶屋さんがやるお茶会の価格が3,000円とか4,000円では安い、そんなものじゃないと思っています。原価とかではない価値がある。だから吉田茶園とのイベントも10,000円とあえて高い金額設定にしています。

その価値がわかる人にまずは来ていただき、日本のお茶を知って広げていってもらう。そしてその人たちを見て、来られなかった人たちが巻き込まれて「日本茶っておもしろそう」ということになっていけばいい。

一方で、日本茶を楽しむ方がもっと増えて欲しいという思いもあるので、今年春に浅草に出店する「VERTはなれ」で解消できたらと考えています。そこではよりカジュアルに日本茶を楽しめるようなお店づくりをして、お茶を好きな人を広く増やしていきたいと思っています。

しかも浅草のお店では、吉田茶園に間借り営業してもらう話しにもなっているんですよ。

吉田茶園・浩樹 そうなんです。じつは吉田茶園の茶園内に茶寮をつくろうと計画中で、そのテスト営業もかねて間借りでできたらと思っています。

古い吉田茶園の法被を再現したものを着た浩樹さん。
茶品種「いずみ」の和紅茶で春摘みの「Izumi 1st premium」(2023年春摘み/低発酵)。水出しで提供された。
夜茶会では、目の前で一煎一煎、淹れていく。
茶品種「いずみ」の和紅茶で夏摘みの「Izumi 2nd candy bouquet」(2023年夏摘み/ウンカ芽)。ウンカという小さな虫が茶葉の樹液を吸うことで、虫の攻撃に対抗するための物質を作り出す。その芽(ウンカ芽)を摘んで製茶するとより豊かな甘い香りのする紅茶になる。

ネガティブな言葉はなし、建設的な話しかしないのが心地よい

――吉田茶園とVERTの出会いは、どんなことがきっかけだったのですか?

吉田茶園・浩樹 初めて田中さんにお会いしたのは、たぶん2022年11月頃だったと思います。田中さんがVERTのスタッフのみなさんと吉田茶園に見学に来てくださったんです。

VERT田中 僕の出身が福岡なので、九州のお茶屋さんに行くことが多かったんです。関東近郊も少しは行ったことはありましたが、一つのお茶屋さんを見たからといって関東のお茶屋さんのことがわかるわけでもなくて。産地によって、生産者さんによっても考え方がまったく違いますし、同じ品種でも違いがでてきます。一つひとつの産地に行かないとわからないので、東京近郊で回っていきたいと思っていた時期でした。

そんななかVERTのスタッフが以前、吉田茶園に行ったことがあり、和紅茶をやっているお茶屋さんということを聞いて伺ったんです。

ちなみに、同じさしま茶の木村製茶工場さんのお茶を使わせてもらったことはあるのですが、茨城県のお茶屋さんに伺うのはこのときが初めてでした。

そういえば、黒い服を着た集団が現れてお父さん(吉田正浩氏)が警戒していたんだよね。ちょうどその頃、雑誌にVERTが掲載されていた時期だったのでそのことを伝えたら、ちゃんとした店なんだと理解してもらったのか警戒が解けたのを覚えています(笑)。

吉田茶園・浩樹 そうでしたね!その雑誌のことは僕も知っていて、もちろんVERTのこともそれ以前から知っていたのですが、目の前にいる人がその田中さんだと結びつかなかったですね。

確かその時は、挨拶程度で終わったのですが、その後、僕がVERTに食べにいったんです。そのときにいろいろとお話して交流が始まりました。それで、自然と「一緒に何かできたらいいね」という話になったんですよね。

VERT田中 そうだったね!

吉田茶園・浩樹 それで、いつだったかは覚えていないのですが、「お茶屋さんの1年を見てみたい」と田中さんがおっしゃったのをきっかけに、茶畑オーナーのような形で吉田茶園にある茶品種の「いずみ」の単欉(畝でなく独立した1本の木)を3本購入してくださったんです。

それからほぼ毎月、吉田茶園に来てくださっています。

VERT田中 始めは草むしりとかもしました。お茶時期じゃないときは、お父さんが作っているいろいろなお茶を飲み比べさせてもらったりもしました。今もお茶の加工などを教えてもらっています。

――吉田茶園には多くの人が来園すると思うのですが、そのなかで田中さんを「この人だ!」と思って、そのあとVERTに食べにいったりしたのには、どんな理由がありましたか?

吉田茶園・浩樹 直感ですかね。僕は来園していただいた方のお店にできるだけ伺うようにしています。そのなかでも田中さんとだったら、いろいろと僕も教えてもらえることがたくさんあるんじゃないかと思ったのはあります。

VERT田中 へー、そうだったんだね。僕は、浩樹くんと付き合って1年経った今思うのは、浩樹くんは、ネガティブな話をしないところがいいですね。先ほども話しましたが、夜茶会はVERTの活動というよりも、日本茶を広げていくためにやっているのですが、そのことを話すとすぐに理解してくれるんです。そんな大きな視野で物事を話せるのもいいですよね。

建設的な話ししかないもんね、そもそも。ただ話していて居心地がいいんです。浩樹くんとは年齢が10歳ぐらい違うんですけど、友だちに近い身近なパートナーのような存在だと感じています。

吉田茶園・浩樹 そういってもらえるのはうれしいです。僕も同じで、うまく言語化できないんですけど、田中さんの人間性に惹かれているんだと思います。

やぶきた実生「八十八夜」(樹齢60年やぶきた実生/2023年春摘み/浅蒸し)。茶の繁殖は、挿し木で行われることが多いが、茶の実から木を育てた茶を実生と呼ぶ。
やぶきた実生「八十八夜」は、酒器に淹れて提供された。
ほくめいの和紅茶「Hokumei 2nd vintage」(2021年夏摘み)。
「Hokumei 2nd vintage」は、クローブやカルダモン、シナモンのような香りを活かして、金柑とともに淹れた季節茶を提案した。
金柑と「Hokumei 2nd vintage」の季節茶。金柑は吉田茶園の敷地内に成っていたもの。

体験を届けることで、結果的にお茶が売れる

――田中さんは、ほかにも行き来している茶園はあると思いますが、吉田茶園の魅力はどんなところにありますか?

VERT田中 吉田茶園があるお茶産地の猿島(さしま)が都内から近いというのは大いにあります。さらにお父さんの存在はもちろん、その子どもたちに映像クリエイターである浩樹くんがいて、今はVERTで働いている春樹くん、大学生の優樹くんもいて、今は茶寮の建設を行なっている。そんなお茶屋さんはほかにないですよね。

そもそもお茶屋さんは、お茶を売ろうとするんですけど、吉田茶園はお茶ではなく体験を届けようとしてるんです。

体験を届けることで、結果的にお茶が売れる。夜茶会であそこまでプレゼンをしてもらうと、終わったら買わざるをえないんですよ(笑)。体験から入って、「1個買って帰ろうか」ってなる。そういう出口になってるんです。

吉田茶園・浩樹 茶葉だけ売ろうと思っても、なかなか売れないと思いますし、むしろ茶葉は生産量の上限があるので売り上げもある程度決まってしまいます。それに対して体験であったり情報であったり、プロセスを楽しんでいただき、その体験を売っていくのは1次産業だからこそできることだと思っています。

それに、興味がない商品をいくら「買ってください」といっても誰も買ってくれないと思うんです。吉田茶園のファンになってもらって、気づいたら買ってるっていうようにしたい。

商品を売るだけではないところも、キャッシュポイントをつくるための1つの方法だと思っています。

――そういった考え方は、吉田さんが映像の仕事をしていることで、外から見た茶の生産者の姿を見ることができているというのも大きいのではないでしょうか。

吉田茶園・浩樹 そうですね。父がお茶の栽培から製造をしているのも含めて、僕が外の視点をもって見れているのはあると思います。

いろいろなお茶農家さん見てきましたし、お茶以外にもブドウ農家さんだったり、ワイナリーも見させてもらいました。1次産業、2次産業、3次産業を見てきたなかで吉田茶園が事業としてやれることはどんなことなのかと考えてきた結果ともいえます。

それと、うれしいことに弟たちもお茶に興味を持ってくれているんです。これから兄弟で一緒に働けたらいいよねという話もしてるので、彼らが働く場所と彼らが売り上げをつくれる場所を作らないといけないわけです。そうするとおのずと茶葉を売るだけじゃ駄目だよねっていう話にもなります。むしろ「そうしなければならない」という状況だともいえます。

――もともと吉田さんは、吉田茶園を継ぎたいと思っていたのですか?

吉田茶園・浩樹 僕は父から継いでほしいってはっきりいわれたことは一度もないんです。一方で、祖父母たちからは「お前は長男だから継ぐんだよ」といわれて育ってきたので、自然と継ぐつもりで大学にも通いました。

だけど、家族だからといって慣れあいでやるのも嫌だと困っていた時期もあり、吉田茶園から逃げようとしたこともあったんです。だけどコロナになって逃げ切れず(笑)。

じつは映像やWEB制作、お茶のイベントを運営する会社を起業して代表を務めており、今も吉田茶園とは別に続けています。経験を積んで、いろいろな業界を見てくると、お茶の世界が客観的に見れるようになりますよね。外から見るとお茶の世界は伸びしろしかないし、活かしていけることがまだまだあると感じました。

それに僕は、吉田茶園という場所が好きだし、お茶自体も好きで、農業も好き。それなら、それをどう残していけるかなって考えたときに、吉田茶園の取り組みや背景を伝えていくような活動をすることに自然となっていきました。

でも家族でやっていくのって難しいですよ。兄弟で始めても喧嘩してどちらかが出ていってしまうことはよくあります。そうならないためにも、家族と仕事を切り離して、ある程度の距離感をもって家業から事業にしてくっていうのはすごい大事なことだと思います。ただ、意識はしてるけどなかなかできないんですが。

VERT田中 いずれ、お父さんの代わりをしていくことも考えているの?

吉田茶園・浩樹 そこはある意味流れに任せています。もちろん製造を最低限できないと話にならないので、基本は覚えたいと思っています。ただ今の吉田茶園の状態で、僕が製造まで入って全部やってしまうと全体が回らなくなってしまうんです。幸い父もまだまだ元気であと30年ぐらい楽しくお茶をつくっていきそうですから、どういう役割分担をしていくべきかというのを、流れをみながら探っているところです。

茶品種「いずみ」の和紅茶を目の前で焙煎してほうじ茶にする吉田さん。
焙煎されたいずみの和紅茶。
茶品種「ほくめい」の煎茶(2023年春摘み/浅蒸し)。
茶品種「ほくめい」の和紅茶「Hokumei 1st greenish」(2023年春摘み/低発酵)。
夜茶会では即興的に田中さんがデザートをつくった。
金柑とチョコレートのデザート。さまざまな香りと味わいが絶妙なバランスで拮抗する繊細なデザートだ。

生産者を中心にした関係性を作り直すべき

――吉田茶園とVERTは、生産者とシェフの関係の理想のように感じます。こうした関係を築いていくには、お互いの立場をどう変えていくとよいと思いますか?

VERT田中 僕は、もっと生産者さんが力をもっていいと思っています。たとえば「視察」という言葉もなくしていきたい。だってそれって、パティシエや料理人たちが生産者さんに対して上から言っている言葉じゃないですか。

生産者さんってすごい大変なんです。雨の日は仕事できない。天気が急変することもあるから、出かけることもできない。だけど僕らは、雨の日でも仕事できるし、天候に左右されず予定を立てることができます。ほかにもたくさん生産者さんの苦労があることを含めて、使う側の人はもっと知った方がいいと思います。

もっというと飲食の人たちのなかで「みんなでまとめて視察に行きました」「写真撮りました」「この生産者さんのことがわかりました」まではいいですが「それでいくらで売ってくれるですか」とすぐに価格の話をするっていう流れはやめた方がいい。

僕は、今までの関係性を解消をして、生産者を中心にした関係性を作り直す必要があると思っています。それは、僕が生きているうちにできることではないかもしれないですが。

少なくとも生産者さんのことを知ってもらう機会は絶対に必要で、それをレストランがするのは大事なことで、それによって生産者さんにもっとフォーカスできるような機会になれば、新しい関係性を築く最初の一歩になると思っています。

――生産者さんを敬う田中さんの考え方は、最初からあったものですか?

VERT田中 いいえ。じつは修業時代に農家さんのところにいったことがなかったんです。行くようになったのは、VERTをやり始めてから。それから、生産者さんの背景や現状を知ることになりました。

吉田茶園・浩樹 田中さんがおっしゃってることは本当にそうあってもらえると農家はとてもありがたいことです。じっさい「一緒に歩んでいける人だけに買ってもらえたらいい」くらいのことを思っていても、それだけの実力をもっていないといけないですから。

だけど、僕たちのようにまだそこまで行けていないなかで、そういう姿勢で関わってくださるのもすごくありがたいですよね。仲間としてすごくかっこいいなと思います。

VERT田中 僕らは生産者さんがいないと何もできないですから。

吉田茶園・浩樹 僕らもパティシエさんやシェフのみなさんのように、消費者に届けてくれる人がいないとつくっただけになってしまいますよ。

VERT田中 お互いがお互いを敬う気持ちを失っちゃだめだよね。

――お互いが信頼しあっていることが伝わる貴重な対談をありがとうございました。

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生産者と料理人がお互いの職業を尊敬し、尊重しあいながら関係性を育んでいった先に、新しい文化(カルチャー)が生まれていく。そんな理想的な取り組みをする吉田茶園とVERTの関係には、お互いの職種を越えた人間同士の信頼とつながりがあることが対談から伝わってきました。

また「お茶を売るのではなく、体験を売っている」という田中さんの吉田茶園に対する視点は、現代の消費者の感覚を言い当てる言葉でもあります。

これからも続く吉田茶園とVERTの取り組みによって、日本茶の世界が今よりも深く広く伝わっていく可能性を感じられる対談になりました。

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Direction by Megumi Fujita
Text & Photos by Ichiro Erokumae

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